専業主婦が0から個人事業主として、仕事を営むまでを概要化しました。
こんな一例もあると、ご参考になれば幸いです。
※恐れ入りますが、未成年の方、法人の方は税金や法律の扱いが異なるのでお力にはなれません。
フリーランスと個人事業主について
フリーランスとは
フリーランスとは、働き方の種類です。
企業などの組織に所属せず、収入がある人を指します。
法律上で分類できる名称ではなく、誰でもフリーランスと自称できます。
個人事業主とは
個人で事業を営むために、開業届を提出した人の名称です。
フリーランスとは違い、自称ではなく税法上でも呼ばれます。
フリーランスが個人事業主になると、得られるメリットが複数あります。
ゆえに個人で働く場合は、個人事業主になることをおすすめします。
給与所得者とは
会社に所属して給与(サラリー)を得ている方はサラリーマンです。
給与所得者の方が、本業以外の仕事等で収入を得たときは副業といいます。
副業の給与所得額が20万を超えると、確定申告が必要になります。
個人事業主かフリーランスか
個人的な見解としては下記の通りです。
理由は確定申告の控除や手続きにおける、メリットとデメリットがあるからです。
・個人事業主は年間約48万円を超えて稼ぎたい人向け
・フリーランスは年間約48万円以下を稼ぎたい人向け
フリーランスで働く場合
開業手続きが煩わしい、年間所得の予定が年間約48万円以下であるならフリーランスがおすすめです。
特にオフィスを借りる手続きも、初期費用もないので気軽に働けます。
ただ、年間所得が20万を超えると、確定申告が必要です。
フリーランスだと、白色確定申告書を提出します。
青色申告の控除は受けられません。
個人事業主で働く場合
年間所得金額48万円を越す予定があるなら、個人事業主をおすすめします。
確定申告や開業手続き、オフィスのレンタル、初期費用など最初は手間が多いです。
ですが手間をかけた分、下記のメリットが大きく帰ってきます。
・確定申告の時に青色申告で受けられる最高65万円の控除
・赤字を3年繰り越せる
・経費や控除で多く働いても、働き損が少ない
働くライン決め(被扶養者のみ)
生計を立てている配偶者がいる場合は、働く金額のラインを決めましょう。
配偶者控除や世帯の主が入っている保険や年金から外れて、働き損をしないためにも重要です。
注意すべきは3点です。
- 税法上の扶養範囲のライン
→住民税、所得税が発生しても許容できるか
- 社会保険制度上の扶養範囲のライン
→厚生年金、健康保険、介護保険から外れても損はないか
- 配偶者の合計所得金額が1,000万円以下であるか
→1,000万円を超えると、配偶者控除、配偶者特別控除が適応されない
なおアルバイト、パートの掛け持ちがある方は130万円の壁についても考慮をしましょう。
厚生労働省HP: 年収の壁・支援強化パッケージ
個人事業主が開業するまでの準備
主に、私生活を重点に個人事業主でも生きていけるかを判断しました。
何も用意せず個人事業主になっても、得るのは苦労です。
家計の明確化
収入が支出を超えないように家計の明確化を行いました。
収入が不安定になるため、どれだけ働いて生計を立てられるのか数字で見られる状態は大事です。
個人事業主の前に一般の人間ですから、まずは私生活を見直す必要がありました。
貯蓄準備
扶養を外れても生活できるよう、また急な出費に耐えられるように貯蓄を行いました。
個人的には、家族が半年間生きていける金額がおすすめです。
一般的にいわれている3カ月分では、仕事が見つからない可能性、不慮の事故などのリスクに不十分だと思い半年にしました。
フリーランス協会への登録
無料会員でもお得な情報があるため、登録しました。
後述するバーチャルオフィス開設の特典もあり、おすすめです。
バーチャルオフィスの開設
開業届にも記載する、事業所所在地は人によってバーチャルオフィスが必要です。
作業場所が自宅、かつ賃貸の場合は住居を活動所在地として登録できない場合があります。
賃貸を事業所所在地に登録するならば、事前に大家さんに許可を得てください。
他にも、クライアントの信用を得るため、住所を全世界に公開したくない方は必須です。
私はNAWABARIさんで登録しました。
開業届を作成
開業手続きには2つの方法があります。
ネット上で作成・提出、もしくは税務署で開業届を作成・提出します。
私は無料、かつネット上で完結する「free開業」サービスを使用しました。
注意として、ネット上で手続した場合は開業届けに受領印がないので『受信通知』などが口座作成時などで必要です。
スキルを磨く
ITスキル、営業スキルなど、仕事の方向性に合わせたスキル磨きが大事です。
資格を所持しているなら、仕事探しにも役立ちます。
道具の準備
ネット上で仕事を営むなら、パソコンの購入・環境設定などの準備を行います。
開業前にかかる費用は、条件を満たせば経費として計上できます。
ただし、オフィスを借りる際の礼金などは経費として認められていません。
後悔する前に、経費として認められるか調べてから実行しましょう。
開業後
- 会計ソフトの用意
- 確定申告の準備
- 印鑑の作成(任意)
- 事業用口座の作成
事業用の屋号付き口座があれば、資金のやりくりが楽になります。 - 事業用クレジットカードの作成
クレジットカードは、会計ソフトと連携しているものをおすすめします。
都度、経費を記帳せずに済みます。 - 開業前の費用申請
開業にかかった経費は開業費と呼ばれます。
通信費やパソコンの購入代などです。
計算方法、経費として認められない場合もあるので、下調べしてから購入しましょう。
個人事業主のすること一覧
- 確定申告(2月~3月)
- 1年間の収入や経費などを、会計ソフト上で確定申告します。
- インボイス制度の対応
- インボイス制度対応は個人の自由です。
- 必要になれば登録しましょう。私はブログがメインなので登録していないです。
- 所得が1,000万円以下の方は、2割特例が使用できます。
- 仕事を受注する
- 個人事業主は自分で仕事を受けに行きます。
- ITや動画作成、ライター、Excelなどネット上で完結する、在庫が発生しない仕事を受注しています。
個人事業主にかかる税金
個人事業主には、4種類の税金があります。
個人事業主になったから直ぐにかかる、といった税金ではないです。
確定申告を元に税金が計算されるので、個人事業主は毎年提出しましょう。
※給与所得者とは計算方法が違うので、ご自身の自治体のサイトをご確認ください。
4つの税金
- 住民税
- 合計所得が45万円を超えると、支払い義務が発生します。
- 所得税
- 合計所得が48万円を超えると、支払い義務が発生します。
- 消費税
- 売り上げが1,000万円を超える事業主、もしくはインボイス制度に対応した事業主が払います。
- 個人事業税
- 所得が290万円を超えた場合、かつ法定業種に当てはまる方が納めます。
確定申告とは
「毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得」に対して確定申告を行います。
要はどれだけ収入があったか、どれだけ支出があったかを国に報告する作業です。
期間は2月16日から3月15日の間です。
条件によっては、免除される場合もあります。
(赤字の場合など)
個人事業主として働く
「お仕事を頂く〜報酬を頂くまで」の流れは下記です。
- クライアントから仕事を受ける
- クライアントとは、依頼人です。
- ネット上や知人のクライアントから仕事を受注しましょう。
- 契約書を交わす
- 何をもって契約終了、報酬対象とするかの約束を紙、もしくはデータで残します。
- 納品、成果報告
- 契約書で決めた成果を、クライアントに納品、もしくは報告します。
- 成果物は契約書で目的として定めたものです。
- 報酬を受け取る
- 契約書に明記された期間以内に報酬を頂きます。基本的には納品、検品後60日以内です。
- 期限を過ぎた場合、もしくは音信不通の場合は裁判か内容証明書を送りましょう。
契約書
仕事を頂く前に、契約書は必ず取り交わしましょう。
記載する事項として、期限、報酬、何をもって契約達成とするのか等です。
個人事業主の場合、証拠となる契約書は大事です。
フリーランスにおけるトラブルの相談件数は、月642件も発生しています。
(令和4年 8月のデータ)
引用元: 厚生労働省
フリーランス・トラブル110番の相談実績について
契約書のひな型
国が契約書のひな型を公開しています。
注意書きをよく読んで使用しましょう。
フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン
契約の形態
個人事業主、フリーランスであれば業務委託としてクライアントと契約します。
業務委託とは
契約の形態です。
雇用契約である正社員やアルバイトなどは、会社の指揮命令下で働きます。
一方、業務委託ではクライアントと受注者の立場が対等です。
業務委託の種類
委任契約
法律業務を行う
契約で定めた業務を行えば報酬が支払われる
成果物の完成は必須ではない
法律業務とは
弁護士、税理士、司法書士などの法律行為を指します
準委任契約
システム開発、動画作成など法律以外の業務を行う
委任契約と同じく、業務を行えば報酬が支払われる
成果物の完成は必須ではない
請負契約
報酬の対象は成果物の完成
契約内容に合った成果物でないと報酬は支払われない
自己防衛手段
個人事業主、あるいはフリーランスは自分で自分を守らないといけません。
最終的に責任を取るのは、事業主である己自身です。
その為に、自己防衛策を練っておきましょう。
法律を知る
損害賠償や著作権の問題など、厄介事にならないために最低限の法律を学びましょう。
法律は自分の身を守るため、知らぬうちに犯罪にならないために知るということが大事です。
2024年10月頃には、フリーランスを守る法律が施行される予定もあります。
なお、正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。
情報収集を行う
インボイス制度や、フリーランス新法、ステルスマーケティング禁止法など、知っておくべき情報は日々増えています。
他にも市場の動きや流行を調べて、分析して自身の活動に反映させるのも大事です。
本名を隠したい方向け
仕事の受注先は、媒介者交付特例が適応されている場所を利用しましょう。
前提として、個人事業主になって屋号を名乗ります。
そして、インボイス制度への適応が必要です。
媒介者交付特例とは
仕事を仲介会社を通すため、本名を明かさなくても仕事ができる仕組みです。
なお、下記にある条件のどちらも満たさないといけません。
1. 委託者(作家、記者)、中間業者の受託者(クライアント)のどちらもインボイス登録事業者である
2. 委託者が、中間業者の受託者に、自分がインボイス登録事業者の登録をしていることを取引前までに知らせている
できれば本名を使用した方が、仕事相手の方へ信頼を与えやすいです。
本名は漏洩してはならない情報なので、基本的に漏れません。
フリーランスの団体、保険に所属する
万が一、裁判沙汰やトラブルに巻き込まれたときに制度が充実した団体に所属するのも手です。
ちなみに、私はフリーランス協会の無料会員に属しています。
支援情報
その他にも、厚生労働省が出している支援情報もあるのでご参考にどうぞ。
厚生労働省HP: 個人・事業主の支援情報
最後に
フリーランスとして働くには、様々な準備が必要です。
会社員やアルバイトは雇用主から守られています。
しかし、個人事業主は己で防衛をしないといけません。
法律や税金に関しての知識は最低限でも身に着けておくと、トラブルにも対応しやすくなると思います。
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